カンボジアの田舎の決して裕福ではない家族。14歳のチャクラは、将来を期待されている兄とは違い、労働の担い手としか扱われない自分の境遇に納得がいかない。お金を稼ぎたいチャクラは、友人から“有給の仕事”を斡旋するというブローカーを紹介してもらい、誰にも相談することなく、単身、家を出る。チャクラは同じ境遇の数人たちとともに密かに国境を越え、タイに入国する。しかしそこで待ち受けていたのは、ブローカーによる“身売り”だった。他のカンボジア人やビルマ人とともに“奴隷”として漁船に放り込まれ、劣悪な環境下で労働を強制される。1日22時間魚を漁り、与えられる食料は、冷めた米飯のみ。陸から遠く離れた船の上で絶対的な権力を持つ船長は、歯向かう者や衰弱した者を見せしめのごとく拷問し、殺し、海に放り捨てていく。脱出することも、陸に上がって逃げ出すこともできぬまま、非人間的な環境と拷問の恐怖に怯え、チャクラの心は摩耗し、人間性は失われ、破壊的な人格が芽生え始める。14歳の少年が、非人間的な状況下で選んだ、生きるための手段とは…
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ボヤンシー 眼差しの向こうに
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2020年8月7日(金)公開